遠距離介護に関する悩みを抱える方は多いでしょう。親と離れて暮らしていることで、在宅介護とは異なる問題が生じるのが現実です。遠距離介護では、物理的な距離があるため、日常的な見守りや急な対応が困難になり、介護者にとって精神的な負担が大きくなる傾向があります。
最も深刻な問題の一つが、介護負担の偏りです。兄弟姉妹がいる場合、事前の話し合いが不十分だと、最も近くに住む子どもや最初に介護を始めた人に負担が集中してしまいます。それぞれの生活状況や能力には違いがあるため、できることとできないことを明確にして役割分担を決めることが重要です。また、遠距離介護をしている人は「普段付き添えない分、頑張らなければ」と無理をしがちですが、これは長期的には持続困難な状況を生み出します。
兄弟姉妹間での解決策として、直接的な介護が難しい場合でも資金援助という形で貢献する方法があります。介護費用の分担や必要な介護用品の購入費負担など、経済的支援も立派な介護参加です。こうした話し合いは、介護が始まってからでは感情的になりやすく困難になるため、介護の必要性が見えてきた段階で家族会議を開き、お互いが納得できる分担を決めておくことが大切です。
一人っ子の場合や兄弟姉妹の協力が得られない状況では、地域の支援体制や介護サービスの活用が不可欠です。日本は超高齢社会に突入しており、ケアマネジャー(介護支援専門員)をはじめとする専門職や、訪問介護、デイサービス、ショートステイなど多様な介護サービスが整備されています。事前に地域包括支援センターで相談し、利用可能なサービスを把握しておくことで、いざという時に慌てずに対応できるでしょう。